私がV6を好きな10のところ<5. ”6”ということ>
5. ”6”ということ
6人という人数の構成だと、2人ずつ、3人ずつメンバーの組み合わせを作ることが可能です。
これは演出の幅を持たせ、V6の強みの1つだと思います。
5-1. 2×2×2
5-1-1. 2人ずつの楽曲
V6にはコンビといえば、Jr.の黄金期を開拓した剛健コンビこと森田・三宅と、長いJr時代を共に過ごし少年隊東山さんにコンビ名を付けられた過去を持つ坂本・長野の2大シンメ*1が存在しています。
しかし、その枠を超えた組み合わせで楽曲を歌っていたのは、ファン以外にはあまり知られていません。
組み合わせによって、また別の魅力も見れますし、その曲名がファンの間のコンビ名になったりしています。
Over Drive/長野・森田(2001年8月1日発売「Volume 6」収録)
ファンの間で「オバドラ」と呼ばれている、長野・森田のコンビ曲。
オバドラの由来は「おばさんとドラ息子」では無いのです。
2人とも甘く高い歌声を持っているにも関わらず、曲調は結構ハード。
だからこそ、重すぎず、爽やかな格好良さが演出されているのかもしれません。
優しく包み込む長野くんの歌声と、独特な甘さを持つ特徴的な森田くんの歌声が合わさると、より一層それぞれの歌声の特徴が顕著になっているように感じられる、魅力的な一曲です。
恋と弾丸/坂本・三宅(2005年11月1日発売「musicmind」収録)
ファンの間では「恋弾」と呼ばれている、坂本・三宅のコンビ曲です。
これは何と言っても、アルバムと同名のコンサートでのパフォーマンスの世界観が素晴らしい!
私もまんまとノックアウトされました。
ジャズテイストのアダルティな楽曲で舞い踊るセクシーな坂本くんとキュートな三宅くん。
タイトな黒ベストに黒のパンツを身に纏ってジャズダンスを踊る2人は、まるでベテランホストと新人ホストのパフォーマンスの様。
通常盤にはマルチアングルも付いていますので、テイストの異なる色気をじっくりたっぷり味わって溺れたらいいと思うの。
5-1-2. 2人ずつのダンスパフォーマンス
MIX JUICE~LOVE SONG~reprise...(LOVE&LIFE ~V6 SUMMER SPECIAL DREAM LIVE 2003~ VV programより)
このコンサートは、「Vprogram」と「VVprogram」の2パターンのプログラムが存在していた特殊なコンサートです。
プログラム内容も演出も、programによって前方と後方にあるステージのどちらをメインステージになるかが異なる等、別のものになっています。
そのうち、「これはV6だからできる演出だな。」と感動したのが、VVprogramの上記の3曲でした。
何がすごいかというと、それぞれの曲を坂本・三宅、井ノ原・森田、長野・岡田のペアで歌うのです。
ただ歌うだけでなく、歌っていない他の4人は黒のハットを被ってその場でバックダンサーへと変化するのです。
もちろん、曲が変わればハットを交換して違うメンバーがバックダンサーへ。
これは2人ずつペアにしても余る人がいなく、そしてボーカルよりもバックダンサーの人数が多く迫力が生まれる、「6人」であることの妙だと思います。
5-2. 3×3
5-2-1. feat.というスタイルの楽曲
New Day/Coming Century feat. 20th Century(2010年9月1日発売「only dreaming/Catch(初回生産限定MUSIC盤) 」収録)
6人で歌っているのに、V6の楽曲ではない。
なんとも不思議ではないですか?
この楽曲はメインはカミセンが歌い、それを後ろからトニセンの坂本・長野・井ノ原がそれぞれの持つ歌の得意分野で支えるような構成になっています。
カミセンのキラキラした希望を描いた歌声に合わせて、長野くんは安心感のある優しい歌声で彼らを包み込み、井ノ原くんは力強い歌声で楽曲の最大の盛り上がりを導き、坂本くんは圧倒的な歌唱力で楽曲を締める。
これはカミセンとトニセンが全く異なるキャラクターを確立し、そしてそれらが対等な関係であるからこそ成せる、特殊な構成だと思っています。
5-2-2. カミセンとトニセンに分かれてるからこそ出来る演出
X.T.C.beat(V6 ASIA TOUR 2010 in JAPAN READY? より)
これはやっていることが複雑すぎるので、とりあえず見て欲しい!
端的に言うと、直前までトニセンが歌っており、X.T.C.beatの冒頭でトニセンがはけてカミセンが登場します。
カミセンがサビまで歌った後、衣装替えしたトニセンが現れしばらくトニセンで歌い、そして最後のサビで6人が揃うのです。
ただ単にトニセンの衣装替えのための演出かと侮る無かれ。
この時、3つの小さなモニターと複数のドアを使用しているのですが、ドアを移動したりモニターにメンバーの映像を投影したりすることで、捌け方と登場の仕方が信じられない程スムーズで、全く気になりません。
カミセンとトニセンで分かれることを当たり前だと認識されているからこそ、一曲の中でそれぞれが捌けたり出現したりしても違和感が生じないのだと思います。
つまり、これもV6内に2つのグループが存在しているからこその演出なのではないでしょうか。
*1:シンメトリー。ジャニーズ用語でJr時代にセンターを基準に対称の立ち位置で踊り、その相手が比較的固定化されていたコンビのこと。
私がV6を好きな10のところ<6.楽曲の多様性>
6.楽曲の多様性
アイドルの面白い部分の一つは、その偶像を通して様々なジャンルの楽曲を歌うことだと思います。
どのアイドルも楽曲の多様性の中に、それぞれのグループの特色を映しており、V6もまた独自の特色を示しています。
デビュー時からダンスミュージックを主軸に、正統派キラキラ応援ソングから90年代を匂わすような渋いメロディラインのシングルまで、その幅広さはジャニーズ内でも屈指のものだと思います。
特に、10周年以降の楽曲では、大人の色気を纏ったアイドルとしてだったり、培ってきた技術を活かす楽曲という方向でもジャンルが広がっています。
それでいて、その幅広い楽曲を「V6」のものとすることが出来る表現力も、彼らの魅力の一つだと思います。
6-1.シングルに見る様々な恋愛模様
近年のシングルに描かれる恋愛模様は、悲恋だったりワンナイトラブだったりと、かなり大人アイドル独特の情景が多い印象です。
そのストーリーを演じる姿もまた、培ってきた色気も相まって、一つの芸術作品となっているように感じます。
6-1-1.ピュアな恋愛
愛のMelody(2001年2月28日)
学校へ行こう!のテーマソングになったこの楽曲。
PVでも皆で赤シャツに黒ネクタイ、そしてタイトな黒ズボンで踊っているような、衣装もポップな、物凄くかわいい曲です。
そのサビのキャッチーな手振りは、コンサートでファンも真似をして一緒に踊るのが定番となっています。
彼女へ向けた純愛を描いた曲で、ピュアな恋愛という面では、シングルの中で「グッデイ!!(2006年6月14日発売)」と1,2を争っているのではないでしょうか。
あなただけに捧ぐ 愛のMelody
いますぐ口ずさめば
遠くはなれて手も 届くはずさ
この想いはTrue my love
冒頭がこれだもん!「True my love」だなんて、純愛にも程があるっ!
歌詞の中の時系列も「朝」なので、思い描く情景も窓から差し込む朝日に照らされて輝いている様な。
もう、本当にこの曲の主人公は彼女が大好きで大好きで仕方がないのがだだ漏れていて。
ただひたすら彼女への愛を語り、そしてその彼の愛を歌い踊るV6の若さも相まって、そのキラキラさはアイドルの王道中の王道です。
グッデイ!!(2006年6月14日発売)
この曲も「愛のMelody(愛メロ)」と同じ様に、サビの振り付けをファンが一緒に踊るのが定番となっている楽曲です。
こちらもストレートな恋愛ソングでありながら、愛メロと比べてピュアさよりも爽やかさが際立つイメージを持っています。
また、この曲を歌うV6もそれから年齢を重ねたことにより、ただひたすら愛を囁く一方的なものではなく、彼女の手を取りお互いの苦労の上での恋愛へと変化しているのも面白いところ。
在り来りな言葉超えられず
何を求めていた?
答えが見つからないあの日に
決別するよ
そして歌詞の中に「サンダルの君」とあったり、その上PVではサーフィンをしたり半袖を身に纏うメンバーの姿から伝わる様に、この曲のテーマは「夏」!
その上2人の未来を想い描く曲でもあり、新たに始まる2人の新たな日々への期待感と夏の陽射しが、輝くキラメキを胸に抱かせるのです。
6-1-2.大人の恋愛
GUILTY(2009年9月2日発売)
テレビ朝日系ドラマ「新・警視庁捜査一課9係」の主題歌でもあった曲。
この楽曲はタイトルから察することが出来るかもしれませんが、何と言ってもテーマが「不倫」。
「アイドルのシングルとして、ダークサイドな恋愛の歌を歌うのか?!」
と私が衝撃を受けた曲でもあります。
愛してる...嘘じゃない言葉の 魔法は
甘く優しくも切ないほど 痛みになる
奪いたい...こみあげる欲望 揺れる愛
どれだけの罪背負う覚悟なら 許されるの?
これ程まで、罪と愛の狭間に揺れ動き苦しむ心情がリアルに描かれている楽曲を、シングル、つまり「その瞬間のアイドルの象徴したいもの」として描くことのできるアイドルというのはかなり特殊ではないでしょうか。
「罪の共有」という、甘美な響きに憧れながらも実際には実現できない夢を描く。
V6は”アイドル”というジャンルの中に、グループ全体で”セクシーな大人の偶像”を具現化した稀有な存在だと考えています。
PVもそのセクシーさをシンプルにアピールするかのように、白シャツに細身の黒スーツで歌い踊っています。
「格好いい大人がセクシーな黒スーツで重い愛をテーマに歌い踊っている」という、まさに夢の様なシチュエーションを実現しているのです。
セットもごくシンプルな作りで、目を隠した無機質な美女との絡みは滲み出る色気に胸を鷲掴みにされます。
Sexy.Honey.Bunny!(2011年8月24日発売)
是非とも!冒頭の坂本さんの"SEXY!"アタックでノックアウトして下さい!!
こちらもテレビ朝日系ドラマ「新・警視庁捜査一課9係」の主題歌でしたが、打って変わってワンナイトラブを歌った曲です。
80年代ディスコサウンドを取り入れた曲で、自然と身体が動いてしまう程に曲全体のノリの良さは抜群です。
摂氏1000℃ラヴ! UP!UP!UP!
どうなっちゃうんだ? 困り果てる
ほど堕ちていく DOWN!DOWN!DOWN!
少年時代に描いたようなLady
One Nightのつもりが...ハマる!
Umm SEXY!
6-2. トニカミ独自のアイドルソング
6-2-1.等身大な大人のアイドルソング
WISHES~I'll be there~(1999年11月25日発売)
美しくも切なさを含む低音を奏でる坂本くんと、哀愁が漂い心の端を切なさでチリチリと焼くような井ノ原くんと、甘く優しく不安定な長野くんの3人の歌声が堪能できる楽曲だと思います。
切ない2人の離別を描く楽曲を、優しさで包むような彼らの歌声に、胸の深い所にある”寂しさ”に溺れてしまいそうになります。
そんな楽曲はもちろんのこと、私はこの楽曲のPVが大好きなんです!
曲もPVも昭和感が強く、色味が少ないレトロなイメージの作品とトニセンの相性は抜群だと思っていて。
PVは廃墟で撮影したそうですが、トニセン自身も20代後半で尖っていたとされる時期のPVであったこともあり、廃墟で寄りかかりながら歌う姿は今は珍しいトニセンの危うさを全面に押し出していると思います。
明日への遥かな想いを
抱きしめて僕らは歩き出す
それぞれの軌跡を残して
それぞれの道を歩く彼らを表すかのように、3人揃って映っているシーンは少なく、顔を合わせることの無い彼ら。
PVの中のトニセンは、各々が自分と道を別れた誰かを想っているのでしょう。
夜汽車ライダー(グッデイ!!(2006年6月14日発売)通常盤収録)
長野くん主演ドラマ「2ndハウス(2006年1月13日-3月31日)」の主題歌であったこの曲。
この楽曲は、アイドルの中でも特にトニセンにしか歌うことのできない恋愛ソングだと思います。
歌詞は、ドラマの内容にリンクしているように、平凡なサラリーマンの僕が高値の華の彼女に恋をした恋心のキラメキを描いています。
高嶺の花も お伽話も
もしかしてって思わせんだ恋ってヤツは
きっといい返事 運べ夜汽車よ
日本が丸ごとバラ色になるような
「仕事終わりの夜にやり取りするメール」を「夜汽車」と喩えるような恋による輝きから生まれるファンタジー性が、「疲れてもまだ 汚れてもまだ」「見せてやるぞ偉大なる小市民の魅力を」との歌詞に描かれるような彼自身の強い意思の上に重なり、恋に本気の彼自身の強い輝きとなっているのです。
何と言っても、トニセンのキャラクターが”平凡なサラリーマン”というキャラクターが似合うのです。
カミセンとトニセンの対比の部分でも記述しましたが、V6内のカミセンとトニセンの対比で、トニセンは「何かを守りながら苦悩して生きていく大人」キャラクター付けがなされていると感じます。
それは、私がイメージする働く男の代表であるサラリーマンと似通った部分があるように感じるのです。
また、3人共が素朴な優しさを纏うキャラクターであるトニセンだからこそ、一般人に寄り添ったキャラクターの様に感じます。
そんなトニセンが歌うからこそ、この楽曲の主人公の感情がリアルで力強いものに感じられるんだと思います。
6-2-2.正統派キラキラアイドルソング
Theme of Coming Century(MUSIC FOR THE PEOPLE(1995年11月1日発売)収録)
デビューシングル「MUSIC FOR THE PEOPLE」に収録されているカミセンの最初の楽曲です。
この曲の特徴はなんて言っても、「ザ・ジャニーズ」を詰め込んだ様なそのトンチキ具合だと思います。
トンチキとは正に、「Coming Century!」とグループ名の連呼から始まり、歌詞の中でも何度も「Coming Century」の単語が含まれている部分に象徴されています。
デビュー当時(1995年)、もうすぐやってくる21世紀の幕開けを象徴するアイドルとして、カミセンの名前を否が応でも印象付ける楽曲となっています。
それでいて、当時中学生だったカミセンが歌うにはややセクシーな歌詞であることに、初めて聞いた時は驚いたりしたものです。
ロケット捨てて宇宙遊泳
オトコのPower 感じて Darlin'
誰も愛せないね 他に
Ride the lightning, Let's go to crazy city
しかし、このあまりにもチグハクで不釣合いのように感じるトンチキな楽曲も、アイドルとして、若さと輝きがあるエネルギッシュな幼い声で歌い踊ると、何故か一つの作品として完成されているように感じるのが不思議なのです。
それは、大人びたい少年性や若さゆえに何にも囚われずに邁進しそうな力強さが、彼らの歌声に含まれているからなのかもしれません。
Hello-Goodbye(2009年7月29日発売)
少年から青年へと成長したカミセンは、キラキラしたアイドルオーラをそのままに、物凄く格好良い男性となりました。
大人のオトコのカミセンの魅力は何と言っても、彼らの特徴的な声で歌い上げるラップだと思います。
彼らのラップは、独特で特徴的な高い声でインパクトの強い森田くんや三宅くんのアタックの強さと、低音で男らしい力強さで2人の声を包み込む岡田くんの温かさが合わさるのが魅力です。
また、3人共が非常にリズム感があるため、曲として無理なく耳馴染みが良い作品となっているのも、彼らがラップという武器を磨いてきた証拠なのではないかと考えています。
そしてこの楽曲はカミセンのラップとリズム感を堪能できる作品だと思います!
彼らのそのような成長に比例するように、デビュー当時はファンの思いを体現するかのように女性目線の楽曲だったのが、男目線の恋愛ソングになっていることも、カミセンの男性としての自立を物語っている様で面白いポイントです。
気のある素振りしてみたり
かと思えば夜中にいきなり呼びつけたり
そんな君はみんなのFavorite
できるなら独り占めしたい、Oh! Baby Girl You Blow My Mind
私がV6を好きな10のところ<7.V6×avex>
- 7.V6×avex
先日、ミッツ・マングローブさんがご自身のラジオ「オールナイト・ニッポンゴールド(2015年7月8日)」にて、「V6は音楽スタイルの幅が広い」と発言していらっしゃいました。
ユーロビート等、日本の音楽業界を牽引してきたavexレーベルだからこそ、優れた制作陣との繋がりの下でアイドルの特徴である楽曲の多様性を、ある意味挑戦的に広げられたのではないかと考えています。
また、楽曲の世界観を可視化するPVも、毎回趣向が凝らされており、全体的に高いと思います。
余り知られることのない、アイドルの枠を超える楽曲の多様性も、V6の大きな魅力の一つなのです。
7-1.avexだからこその楽曲
avexによるV6の挑戦的な楽曲は、玉置浩二作曲の「愛なんだ(1997年1月20日発売)」から始まり、「佐藤竹善*1作曲の「IN THE WIND(2000年5月10日)」の渋いメロディに突発的に挟まれる明るいストリングスのメロディ等にも垣間見ることができます。
しかし、過去の情報を得ることが難しいため、近年の楽曲の中で「これは!」と思う数例を語りたいと思います。
kEEP oN.(2012年8月8日発売)
この楽曲は一言で言うならば、「問題作」。
「Sexy.Honey.Bunny!(2011年8月24日)」から「バリバリBUDDY!(2012年2月15日)」、そしてこの「kEEP oN.」と『どうしちゃったんだ?V6期』の最後のトリを飾る曲でもあります。
当時、「問題作」を世間に投げることで、V6そのものに興味を持ってもらおうと動いていた様ですが、その中でも飛び抜けてこの楽曲はぶっ飛んでいると思います。
そのぶっ飛び具合はアイドルの枠だけでなく、音楽そのものとしてもかなりのものだと思っていて。
6分6秒にも渡る超大作の、何と言っても曲の構成が信じられない。
主軸となるサビの1曲と異なるメロディー/テンポの8曲から成っており、次から次へと世界観が変わる様はまさに旅行です。
それでいて、楽曲間の繋がりに違和感は無く、一つの大きな作品として纏まっているのが作品としてのクオリティの高さを物語っています。
製作者の西寺郷太さんと*2corin.さんの話が音楽ナタリーで特集されています。(http://natalie.mu/music/pp/v6)
それによると、メンバーの声とキャラクターを正確に把握した上で歌割りを配分したり、制作ディレクターの「楽曲制作に掛けるお金はどこまででも使っていい」との発言により、すべて生レコーディングしたりと、隅から隅までこだわり尽くした楽曲であることが分かります。
フルでこそ輝く楽曲のため、ラジオやテレビで世間に流れる部分では魅力が伝わりきらずにもどかしさもありますが、アイドルがこの問題作を自身のモノとし、そして公の場で歌い踊ることの脅威。
それが長年アイドルとして挑戦し続けてきたV6とその製作チームの大きな武器なのでは。
Wait for You(2015年7月29日発売「SUPER Very best」初回限定B盤収録曲)
20周年記念に発売されたベストアルバムに収録されているこの楽曲。
発売形態としてはB盤限定の作品であり、いち特典であるのにも関わらず、20周年を代表する楽曲の一つとなっており、かつ制作陣が尋常ではなく豪華なんです!
レディ・ガガやワン・ダイレクションらのプロデュースを手がけるRedOneが作曲し、DefTechのmicroが作詞をしています。
三宅くん自身が「泣けるEDM*3」と評したこの楽曲。
一番盛り上がるサビには歌詞が付けられていないという独特の構成ですが、その特異さに惹き込まれてしまいます。
それでいながら、この曲には海上に揺蕩うような静かな穏やかさが感じられます。
しかし、その背景や歌詞にある意図を汲み取ると、更に胸を鷲掴みにされるのです。
ユーロビートの天下を取っていたエイベックスから同ジャンルでデビューしたグループが、20年後にはユーロビートをより現代的にしたダンスミュージックジャンルのEDMで、未だに歌い踊っているのです。
絶妙な韻を踏んだ抽象的な歌詞でありながら、20周年を迎えたベテラングループのこれからまだまだ先へと進んでいく貪欲さを感じられるのです。
雲に浮かぶ 鳥のように
あの上に あの空に
Ready to jump? もっと高く
あの上 あの空に
7-2.こだわりのあるPV
出せない手紙(2001年8月29日発売)(PV:Film V6 act Ⅲ -CLIPS and more-収録)
三宅くん主演「ネバーランド」の主題歌であったこの曲は、原作者の恩田陸が「セキヤヒサシ」名義で作詞をしています。
他にも創意工夫の凝らされたPVは沢山あり、どれもが語りたい部分を持っている程面白いのですが、私がこの楽曲のPVを推すのは、PVの映像の美しさにあります。
全編バラードで詩的な歌詞で切ないこの楽曲のPVは、”水と自然の中での白と黒”がテーマとなっています。
タイトルにある「出せない手紙」とは誰に宛てて何を書いたものなのか。
歌詞中では直接的には触れられていないため、主人公の感情と情景から推測をする他ありません。
それとリンクするかのように、水族館で魚に囲まれていたり、荒れた浜辺など、必ず水が映っているもしくは水を連想させる景色の背景は、自然の厳しさを訴えるような詩的な映像構成となっています。
また、画面に映るものすべての色味が薄く、全体的に褪せた色合いの中で、それに溶けるように白のシャツを着て立っているメンバーは、今にも消えていなくなりそうで。
厳しくも変わらない自然と対比する人間の儚さが描かれているように感じる、映像そのものも、意味合い的にも美しさを内包しており、制作陣のこだわりを感じます。
Supernova(2013年2月20日発売「Oh!My!Goodness!」収録曲)(PV:Oh!My!Goodness!初回生産限定A収録)
このPVは、岡田くんが監修し、監督と相談しながら作り上げた作品であり、クラブで交じり合う男女のワンナイトを描くセクシーなものです。
ブルーやレッドの暗い照明に照らされたクラブの中で、色気を全面に押し出し、美女と絡むV6メンバーにノックダウン間違いなしです。
しかし、見どころはそこだけではありません。
一つのカメラが常にクラブ内を動きながら、長い尺で撮影した映像を使用しているのです。
流れるように場所を移動するカメラと、それに合わせて自然にカメラに入るように移動しているメンバー。
終いには、さり気なくダンスシーンへと突入し、カメラを中心に超至近距離で歌い踊るメンバーを堪能することができるのです。
そのダンスシーンも、流れるように一つの映像内でフォーメーションが変わったり、映っているメンバーが変わったりしており、非常にシビアなタイミングでの移動が必要なことが分かります。
また、一つのクラブハウスの中での撮影なのに、めくるめく怒涛の映像展開に圧倒されるのは、計算しつくされた導線や構成によるものだと思います。
そして最後には、PVの冒頭と同じシーンへ舞い戻り、繰り返されるワンナイトの始まりが描かれているのも、なんともニクイ演出です。
7-3.快作のアイドルアルバム
Oh!My!Goodness!(2013年2月20日発売)
「アイドルとして、こんなに音楽的に挑戦的なアルバムが存在するのか?!」と驚いたのが、このアルバムでした。
全体的に一昔前のディスコソングテイストのこのアルバムは、初の試みとしてシングル以外の楽曲のほとんどがメンバーの誰かが楽曲制作に携わっています。
それぞれの楽曲を見てみると、長野くんが携わった優しくも切ない超王道バラードの「線香花火」から、井ノ原くんが携わったファルセットの高い声と低音を巧みに使い、大人の遊び心に富んだ「BING♂」や電子音を響かせてバリバリのディスコソングの「D.I.S」まで、その幅広さは驚異的です。
三宅くんが携わった「大人Guyz」では、大サビでトニセンとカミセンが全く異なるメロディを歌いつつも、楽曲としてちゃんと一つに纏まっており、そのリズム感の良さは思わず曲に合わせて「大人買い」をしてしまいそうになるほど。
そんな面白い楽曲の目白押しのアルバムですが、中でもぶっ飛んいると思ったのは、森田くんが携わった「Maybe」。
楽曲としてはとてもシンプルで、少ない数の音でしか構成されていないのに、その曲に描かれる世界観は切なくも温かい恋愛感情で。
曲そのものの完成度の高さと、それを歌い上げるメンバーの声から滲み出る優しさに痺れてしまうのです。
アルバム全体の曲順の構成も一つの作品として完成されており、通して聞いた時の満足感に浸るのが至福の一時です。
そうして浸っていると、最後の最後にもメンバーと制作陣の遊び心が散りばめられていて。
アルバムを通して、V6の大人の遊び心に翻弄されるのです。
*1:Sing Like Talkingのシンガーソングライター
*2:ノーナ・リーヴスのシンガー、メインプロデューサー。V6に「DANCING MACHINE/20th Century」「Sexy.Honey.Bunny」「POISON PEACH」「kEEP oN.」の楽曲を提供している。
私がV6を好きな10のところ< 8.6人6様の歌声と歌唱法 >
8.6人6様の歌声と歌唱法
8-1.それぞれの特徴
メンバーそれぞれの歌声の特徴は以前ブログに投稿してますので、ここでは割愛させて頂きます。
こちらの記事でも言及していますが、V6の声質は非常にバランスが良いと思います。
高音組の長野くん、森田くん、三宅くんと、低音組の坂本くん、井ノ原くん、岡田くんと、綺麗に3人ずつに分かれるばかりか、歌声そのものの特徴もバランスが良いのです。
圧倒的歌唱力の坂本くんと井ノ原くんは、曲のテイストに合わせて息の抜き方や発声の仕方などの歌唱法を変えており、V6の歌声の柱となり楽曲の世界観を率いています。
好き嫌いが分かれる特徴的な歌声の森田くんと三宅くんの歌声は、何と言っても刹那さを描くことに秀でており、飛び道具的な存在で楽曲のスパイスとなっています。
そして、これらの歌声を率直で甘く優しい長野くんと岡田くんの歌声で、時にその甘さで強烈なインパクトを残しながらも支えるのです。
近年のV6の楽曲の面白いところは、制作陣がこれらの6人6様な歌声を正確に把握して、適材適所に歌割りを決めているのです。
切なさを強調したい時には甘く蕩けそうな切なさを醸す森田くんを歌の出だしに使用したり、楽曲の中で一番盛り上がる”ここぞ”という場面では坂本くんのビブラートの聞いた美声で締める、など。
王道な歌割りの他にも、時には楽曲間の掛け声を甘く優しい長野くんが担うことで、嫌味やパンチもなく爽やかな印象だけを残しており、その絶妙な配置に納得することも。
複数人が異なるパートを歌うアイドルの楽曲だからこその”こだわり”の観点から楽曲を見てみるのも非常に面白いのです。
8-2.ユニゾンの美しさ
V6は低音と高音のバランスがちゃんと均衡になっているからこそ、アイドルソング必須のユニゾンに安定感を感じられます。
それは、歌声にそれぞれ特徴はあるけど、ユニゾン時には際立つ様な特徴ある歌い方をする人はいないからでないかと考えています。
その安定感も、彼らの20年培ってきた努力の結晶なのでしょう。
また、「V6 ASIA TOUR 2010 in JAPAN READY?」における「Portraits ~prologue~」ではアカペラで歌う彼らのユニゾンを聞くことができます。
完璧なユニゾンではないけども、6人バラバラな歌声だからこそ大切に、丁寧に歌う彼らの優しいユニゾンの歌声に力づけられます。
8-3.圧倒されるハーモニー
君が思い出す僕は 君を愛しているだろうか(2013年8月21日発売)
この楽曲は「警視庁捜査一課9係」第8シリーズの主題歌でしたが、本気を出した彼らのバラードのハーモニーは圧倒されます!
アイドルのシングルとして全員にスポットライトが当たる歌割りではなく、楽曲としてのハーモニーの美しさを追求した作品となっているのです。
メインで歌う坂本くんと井ノ原くんの2人の歌声が楽曲のほとんどを歌っており、他の4人はハーモニーに徹しています。
特に三宅くんと最低音を担う森田くんはソロパートが一度も存在しません。
それでいて、6人が6人共異なる音を奏でており、6重奏の美しくも厚みのあるハーモニーを奏でているのです。
私がV6を好きな10のところ<9. 圧倒されるコンサート>
9. 圧倒されるコンサート
「V6のコンサートの話し合いは長い」と三宅くんが語ったことがあります*1。
コンサートの構成は6人で話し合って決めるそうですが、例え少数意見だとしても却下などせず、出来る限り取り入れようと努力するからこそ、長丁場の話し合いとなるそうです。
また、コンサートの構成の2/3は踊っているV6は、振り起しというダンスをひたすら踊り込んで身体に叩きこむ作業に、相当な時間をかかっているだろうと推測できます。
毎回、メンバーが頭を抱えて、踊り込んで生み出しているコンサートには、圧倒されてしまうのです。
9-1. 6人だけでただひたすら踊り倒す
V6のコンサートには、Jr.をバックダンサーとして付けません。
それどころか、そもそもV6以外のダンサーがいません。
誰かのソロにはメンバー自らがバックダンサーとしてステージに上がり盛り上げるという、ファンにとって最高な演出も、6人だけだからこその贅沢なのでしょう。
6人だけで会場を走り回り、踊り、コンサート会場の空間を作り上げています。
それでいて、尋常じゃない量のダンスを、複雑なフォーメーションチェンジを織り交ぜながら踊り倒すのです。
そのダンスの量も減るどころか、昔に比べて増えている上に、増々洗練されているような気さえします。
一糸乱れぬパフォーマンスには、心臓を鷲掴みにされてしまう程。
時にはコンサートの構成の中にアカペラを入れるように、生身の人間の力を分かっている彼らのパフォーマンスに、ただひたすら圧倒されるのです。
9-2. パフォーマンスを引き立たせる照明
大掛かりなセットや演出のないV6のコンサートですが、彼らのパフォーマンスを際立たせる照明演出に非常に力を入れており、その美しさは目を見張る程です。
「V6 SUMMER SPECIAL DREAM LIVE 2003」での演出では、日本照明家協会賞新人賞を受賞しています。
そんなスタッフによる魅力的な照明を2つ紹介します。
Voyager (V6 LIVE TOUR 2007「Voyager」 −僕と僕らのあしたへ− より)
OPのこの曲では、白に照らされた照明に浮かび上がる6人のシルエットから始まります。
眩いほどの灯りの中でステージへ登り歩く彼らに思わず息を飲んでいると、一瞬にして、会場すべての照明が光り輝くのです。
「そうさLife as a Voyager その先へ」との歌詞とリンクするように、ステージから会場の方へ動き輝く無数の光の線は、その先へと進む意志を表現しているよう。
その後には、瞬時にV字フォーメーションに並んだ6人だけを上から照らす照明だけになり、静けさを演出すると、次の瞬間には全面に光り輝く照明に変わる、等光の量の緩急に惹き込まれます。
また、このコンサートには6つのキューブが天井から吊るされており、メンバーカラーに光るキューブを操るかの様なメンバーとの演出の一体感にも、美しさを感じられます。
Air(V6 ASIA TOUR 2010 in Japan「READY?」より)
メンバーカラーを意識した演出は、ダンスと光が一体となり、会場を圧倒します。
メインステージに集まった6人を、それぞれメンバーカラーのスポットライトで照らすだけでなく、メンバーがソロで歌う時には、会場も他のメンバーも、歌っているメンバーのカラーで染め上げる演出が大好きなのです。
優しいラブソングの「Air」ですが、メンバーカラーごとに変わる照明によって、まるでメンバーからの愛を感じるかのよう。
また、最後に坂本くんの合図で輝く星空はとてもロマンチックで、うっとりすること間違いなしです。
私がV6を好きな10のところ<10.「”今”が一番格好いい」>
10.「”今”が一番格好いい」
今まで、様々なファン歴の方と交流し、お会いしてきましたが、皆さんが口をそろえて言うのが、「V6はいつも今が一番格好いい」。
確かに若さは失われダンスのキレも無くなったものの、年齢に合わせて常に挑戦し続けて大人の魅力を身につけた彼らは、今なお新たな魅力を出し続けてくれています。
それは、楽曲やPVなどの作品面だけでなく、彼ら自身のパフォーマンスや在り方においてもです。
その一方で、いつグループとしてのタイムリミットがやってくるかも分からない刹那さもどこかで持ち合わせていて。
だからこそ、今この時に一番格好いい彼らを見つめ、追いかけたいと思うのです。
最後に、私が感銘を受けたコメントを抜粋します。
「変わらないものを出し続けるには変わっていかないと。(中略)同じことばかりじゃ飽きられちゃう。その変化の仕方、捉え方は人それぞれだろうけど、変化っていうのは必要だと思う(長野)*1」
変わらずV6で在り続けるために、変わる努力を続けているメンバーのアイドルへの拘りを、私は心から尊敬しています。
*1:ザ・テレビジョンCOLORS SKY BLUEより引用
Timeless -20周年記念第一弾シングル-
紅白で最高のパフォーマンスをした大晦日から早数ヶ月…。
20周年記念イヤー第一弾シングル「Timeless」が、つい先日、5月8日に発売になりました!
この間にいろんなことがありました。
大河終わった直後からカツラの心配をされ、図書館センパイへ再び舞い戻ったかと思えば、気付いたらエベレストで山男となっていた岡田くん。
「みんなの手話」ナビゲーターの続投が決定し、昨年と違って苦手意識を持ちやすい文法を如何に楽しく学べるかに配慮している健くん。
初主演映画「ヒメアノ〜ル」の制作が決定し、撮影が開始した中で殺人鬼の役を演じている剛くん。
9係のseason10が決まっただけでなく、「アド街ック天国」2代目宣伝部長に就任したいのっち。
シンガポールでアスパラを購入している目撃談が上がってきたかと思えば、カレーコンテストで他の料理研究科を抑えて優勝した長野くん。
坂本くんは、えっと…、筋トレして体づくりに専念してたのかな?
グループとしては15年ぶりの24時間テレビで、Hey! Say! JUMPと共に2世代パーソナリティを行うことが決まりましたね。
寝耳に水どころか、寝ているところにバケツ一杯の冷水をぶっかけられたかのような衝撃でした(笑)
これについても、初報の衝撃が凄かったのでブログに投稿しようと思います。
(当日までには。)(いやいや、24時間始動し始めるまでには!)
そして、つい先日Timelessが発売となりました!
Music Stationでのシングルランキング1位おめでとうございますーー!
現段階で前作の「Sky’s the limit」を上回る売上を記録しているようで、嬉しい限りです。
20周年記念イヤー第一弾シングルとして、「絆」がテーマのこのシングル。
音楽、MVだけでなく、それに伴う雑誌等々非常に素晴らしかったので、
この20周年を振り返ったときに記憶に残るように、私の雑感を掲載したいと思います。
今時間があって、暇でどうしようもなくて、他に時間を潰すものがなくて、
もしくはV6に興味はあるけれどどれを買うべきか迷ってる人がいらっしゃいましたら、
長文となること間違いなしですが、お付き合いくださると幸いです。
<随時更新予定>
Timeless −20周年記念第一弾シングル〈雑感〉 CD編−
Timeless −20周年記念第一弾シングル〈雑感〉 歌番組編−